プリント領域と生産性を飛躍的に向上

印刷エリアの拡大に加え、4基のプリントヘッドと2基のUV-LEDランプの搭載により、印刷スピードは従来機の約1.6倍＊となり、生産性が飛躍的に向上。さらに、クリア（グロス）・白インクをそれぞれ1ヘッド2ラインに増強し、スピード向上だけでなく、より高さのある厚盛り印刷や、隠蔽性の高い白インク印刷が可能に。フラットテーブルの奥行きはそのままなので、素材のセットも容易です。また、動作の最適化や、新搭載の下書き用ドラフトモードなど、トータルで作業効率を高めています。
＊ VersaUV LEF-20 CMYK印刷

厚手から薄手まで多様な素材に美し

UV-LEDランプによりインクを瞬時に硬化させるECO-UVインクは、PET素材やABS、ポリカーボネートのほか、TPUや革などの柔らかな素材にもダイレクトプリントが可能です。また、バキュームテーブルを採用し、薄手のメディアのセットが容易に。高さ100mmまでの厚物からPETなどの薄口のフィルムまで、幅広い素材に対応します。さらに、平面素材への印刷に適した「一般モード」に加え、高低差2mmまでの曲面にも美しく印刷できる「ディスタンスモード」を搭載。対象物の形状に応じて、2種類の印刷モードを選べます。

付加価値を高める豊かなプリント表現

VersaUV独自のクリアインクに対応し、プレミアム感を演出できるグロスやマット仕上げ、クリアインクを重ねた厚盛り印刷が可能。印刷面に凹凸のある質感を表現し、シボ加工を施したような風合いも表現できます。付属ソフトには、72種類のテクスチャパターンをプリセットしています。また、隠蔽性の高い白インクを下地にすれば、透明素材や色の濃い素材にもより鮮やかに印刷できます。

生産現場の要求に応える高い精度と外部拡張

量産時の繰り返し出力でも印刷位置を再現し、正確で高品質な印刷ができるよう、環境変化の影響を受けにくい部品の採用などハードウェアの精度向上を実現しました。また、パトライトや治具搬送といった外部機器とプリンターの連動をサポートするI/Oを装備し、量産現場のニーズに応えます。

プリント品質と安全性を高めるフルカバー構造

密閉性に優れたフルカバー構造のフロントカバーを装備。不要なUV光を外に漏らさず、印刷⾯へのホコリの付着も防止できます。また、本体側面にカートリッジをセットする構造のため、印刷中にカバーを開けることなくインク交換ができます。

高さを自動で調節するセンサーを搭載

「自動高さ設定」にしておけば、立体物をフラットテーブルに置くだけで、センサーが材料の高さを感知して、自動でテーブルの高さを調整します。これにより、だれでも簡単に材料のセッティングが行えます。また、厚みのある材料の印刷面とプリントヘッドとの距離を自動で最適化するため、常に高いプリント品質を保ちます。

インクミストを吸着する「ミスト吸着機能」

プリンター内部に浮遊するインクミストを吸着する「ミスト吸着機能」を搭載。プリントヘッド周辺に設置されたファンがインクミストを吸い上げ、吸着フィルタでキャッチします。これにより、安定した印刷を実現します。

インクを3次元的に制御する「Roland Intelligent Pass Control」搭載

インク量や濃度を3次元的にコントロールする先進の「Roland Intelligent Pass Control（ローランド・インテリジェント・パスコントロール）」を搭載。印刷時のスジ・ムラを低減し、高品質な印刷結果を得られます。

メールで出力状況をお知らせする「Roland OnSupport」

出力業務を快適にサポートするユーザー支援ソフトウェア「Roland OnSupport（ローランド オンサポート）」を搭載。印刷終了やインク残量僅少などプリンターの状態を、「OnSupportメール」で携帯電話やパソコンにお知らせ。プリンターから離れた場所にいる時にも状況を把握できるので、安心して印刷が進められます。

実家が営んでいたプラスチック成型業から2011年に独立し、（株）エーワークスを立ち上げた浅野達生社長は、ある思いを胸に秘めていた。
それは、「この先、工場は特化した技術がないと生き残れない」だ。

同社はプラスチック成型から金型の製造、有名作家やキャラクターのライセンスを取得して作った商品、自社オリジナル商品、OEM請け負いなど幅広いビジネスを展開している。
高品質なプラスチックを成型したスマホカバーやICカードケース、メガネケース、コンパクトミラーなどの「無地素材販売」にも積極的で、OGBSにとっては国産の安心できる商材を提供してくれる頼れるメーカーとも言える。

プラスチック製品は無地素材として販売する以外、全て印刷が必要になる。
印刷は外注で、約80%がUVプリント。自社に機械はなかったものの、印刷に精通したスタッフが協力工場への技術指導をおこなっていた。残り約20%がその他の印刷だ。
浅野社長は、「社内で印刷しているものもある。他社が導入をしていない印刷機を入れ、新たな販路を含め、他との差別化を図ってきた」。

―― 機械導入はリスクだが競争力にもつながる

その同社が今年7月に導入したのが、厚物UVプリンター「LEF-300」。
ローランドDG（株）が今年1月に発売した「LEFシリーズ」の新機種で、従来機の「LEF-12」や「LEF-20」に比べ、テーブルが770x330mmとサイズアップ。
4基のプリントヘッドと2基のUV-LEDランプを搭載し、印刷速度を1.6倍に高めた量産マシンだ。

長年印刷を外注していた同社が「LEF-300」の導入を決めたのは、ただ単純に外注費削減だけを目的にしたわけではない。
「機械導入は目先で見ればリスクでしかない。しかし、将来的に社内で技術をマスターできれば、より強い競争力に繋がります。もちろん、利益率アップの効果も期待しています」と浅野社長。

「LEF-300」の導入でUVプリントの多くは内製化したが、「素材や形状によっては、今でも外注に出すことがあります。しかし、社内でLEF-300を使っていることで
『こうするとこんな問題が起こる』と分かります。それを知った上で外注に出せる意義は大きい。
外注先で問題が起こった時、作業工程の組み直しがしやすくなります」（浅野社長）。

生産性の高さとメーカーへの信頼が決め手

数ある厚物UVプリンターの中から「LEF-300」を選んだ理由は、「印刷がキレイで生産性が高いことが決め手。
また外注先と違うメーカーの機種を選ぶことで商品に違いが出せると考えた。
これならば、と納得して導入しました。ローランドDGというメーカーへの信頼が高かったことも大きい。
提供サービスの部分も含めて検討した結果です」（浅野社長）。

「LEF-300」を導入したのは、動作が工場見学を積極的に受けているからでもある。
エーワークスには「金型製作を見たい」というクライアントなどが多く訪れる。

その際に、「UVプリントを外注していると思われたくなかった。見学が多いことも考えて、インクの臭いがしないように専用脱臭装置も購入しました」。

見せることを前提に導入された「LEF-300」は、お客様に「エーワークスなら全て任せられる」という安心感を生んでいるだろう。
浅野社長は、「プラスチック成型業にかぎらず、町工場はどの業種も斜陽にある。
どんどんモノづくりの現場を見てもらって、どんな仕事をしているのか、わかって欲しいのです」。

他社にない技術を高め、競争力に繋げる

エーワークスでは、「LEF-300」で出来る表現を追い求めている。
例えば、「LEFシリーズ」の柔軟性のあるインクを生かし、特殊素材へのプリントを研究したり、クリアインクを重ね、新たな表現ができないか試行錯誤したりと精力的に商品開発に取り組む。

「実験的な試みを含めて、他社にはない技術を高めることが競争力になる。これからは会社の姿勢が問われる時代。
エーワークスだからこそ作れる付加価値の高い商品を生み出して、お客様に提案していきたい」（浅野社長）。