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UV印刷時のインク密着の仕組みについて知っておくべき事【番外編】
水性インクや溶剤インクは印刷素材(メディア)にインクが着弾し、インクがメディアの受理層に固定化されます。つまりメディアが高いインク受理層を持ち、浸透性を持つかどうかが重要になります。
一方でUVインクの場合はUV(紫外線)でインクが硬化し固定化されます。つまり印刷されるメディア表面の種類、コンディションが重要になります。
UVインクとメディアの相性は【第2回 UVプリンターで何に印刷するか?】で既に解説した通りですが、相性が良いメディアでも密着がよくない場合があります。
この<番外編>では、そんな時のために「UV印刷の仕組みについて知っておくべきこと」をまとめました。今UVプリンターを検討される方は、是非ご一読ください。
UV印刷時のインクとの密着性について
① 印刷材料が撥水性があると密着しにくい
良好な密着性を得るためには、インクが素材表面に充分になじむことが必要です。インクは液体なので、撥水性の素材にはインクがなじみにくく、はじかれています。
はじかれている場合、インクと材料が結合する面積が狭くなってしまうため密着は難しくなります。たとえばゴムやウレタンなどが該当します。
② 材料表面に油分が付着しているものは密着しにくい
材料表面に油分などが付着しているとインクの密着性が悪くなります。樹脂などの場合、素材に含まれる可塑剤などの添加物や保護フィルムの糊が表面に浮き出てインクの密着性を低下させる場合があります。
材料表面を不純物が少ないアルコールなどでクリーニングします(これを脱脂といいます)。脱脂を行うかどうかでも大きく結果が変わる場合もありますので、重要なポイントです。密着が良いとされるポリカーボネート製のスマホケースに密着が難しい場合、脱脂が不十分な場合があります。
③ 材料表面は平滑すぎるものは密着しにくい
インクが素材表面の凹面に入り込んで固着すると、木に釘を打ち込んだように離れにくくなります。
これは木や紙のようなザラザラした材料は問題ありませんが、プラスチック等のツルツルした材料には適用出来ません。その場合はサンドペーパーやピカール金属磨き等で表面を凹凸にすることで密着性を改善できます。密着が難しい場合はこの方法を検討することも一つです。
④ 白インクは密着が難しい
一般論として、白色は光を反射しやすい性質も持っています。UV光を照射しながら印刷するUVプリンターも例外ではなく、数%のUV光は白色のものは反射してしまうため白インクは硬化の効率が悪いです。さらに、白インクは隠蔽力を高めるために、他の色よりも厚めに印刷されてしまうことも一因となります。密着が難しい材料へ印刷する場合は「白インクを使用しないこと」も有効な手段となります。
白インクの有無に関係なく、インク量が少ないほうがUV光が内部まで届きやすくなります。同様に高速に印字するより低速で印刷したほうがより多くのUV光をインクに照射できるため、密着性改善につながることがあります。
⑤ グロスインクとプライマー
グロスインクは色素が入っていない無色透明のインクとなります。実はインクの中で最も密着性が良いのはこのグロスインクとなります。グロスインクは印刷後にコーティングすることで密着性や耐薬品性を高めることができますが、下地に印刷することで有効な場合もあります。密着が良くない場合はグロスインクを下地に印刷することも検討してみましょう。
プライマーはUVインクと素材の密着性を向上させる目的で作られた無色透明の塗布材となるため、グロスインクとは考え方が異なります。インクの下地として使用することが前提なので、コーティング用途では使用しません。
プライマーが密着をサポートすることで、より多くの素材への印刷が可能になりUVプリントビジネスの可能性がさらに広がります。プライマーでの密着は、素材と条件に応じて異なります。必ずテストを行い、満足できる印刷品質が得られるか事前に確認して下さい。
プライマーにはインクジェットで塗布するタイプもありますが、市販でスプレータイプや刷毛で塗るタイプもあります。ホームセンターで入手可能です。製品の使用方法に従って印刷素材表面に塗布してください。プライマーが十分に乾燥してからUV印刷をおこなってください。
硬化モード
UVプリンターには、吐出したインクを硬化させるためにUVライトを照射だけ行うモードがあります。硬化が不十分で塗面の強度が足りない場合、この硬化モードを利用します。
おすすめの脱脂剤について
2-プロパノール(イソプロピルアルコール)
消毒用として、また湿式のレンズクリーナー、コピー機のコンタクトガラスの洗浄液などで利用されます。素早い脱脂力とプラスチックを侵さない安全性を持っています。薬局などで入手しやすいこともポイントです。
その他注意すること
静電気対策について
UVプリンターにとって静電気は問題です。静電気によりインクが飛び散って(ミスト)、印字品質が下がるだけではなく、ヘッド表面にミストが付着し、ヘッド詰まりを引き起こす可能性があります。
静電気対策として以下が考えられます。
湿度を上げる | プリンター周辺の湿度を上げる・加湿器で部屋の湿度を上げる。 |
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アースについて | 静電気対策の基本は発生した静電気を留めておかず、アースする(大地に逃がす)ことです。帯電する可能性のある導体はすべてアース線から大地につながるようにします。 |
ヘッドの高さを下げる | プリンター本体のヘッドの高さを変更します。(ヘッドがタカイの場合は改善する可能性があります) |
除電ブラシ | 静電除去ブラシでブラッシングするだけで簡単に放電させることができます。 |
イオナイザを使用する | 静電気除去に。キーエンス、春日電機等があります。 |
帯電防止剤でプリンター印刷エリアを拭く | コートロン、スパークレス等があります。 |
他のメディアで印刷 | 帯電しやすいメディアもあります。他のメディアで印刷をお試しください。 |
UVプリンターの選定時間を弊社のノウハウで短縮しましょう
いかがでしたでしょうか。UV印刷時はインクとの密着性が重要になります。ぜひ見極めてご検討ください。
大判プリンター比較.jpではUVプリンターを何十台も納品した実績がございます。 お客様の用途は、スマホケースの作成、グッズやノベルティ作成による新規事業から、企業様の店舗の導入による体験価値の向上、来店きっかけづくりなど幅広いです。
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